イギリスの田舎の雰囲気を楽しみたい方におすすめのコッツウォルズ地方。イングランド中央部に位置し、魅力溢れる様々な村が点在しています。英国で一番美しいと言われているエリアでもあり、特別自然美観地域に指定されています。
コッツウォルズへの観光は、大きな村を2〜3か所周遊するロンドン発着の日帰りバスツアーなどが一般的ですが、エイチ・アイ・エスで購入できるコッツウォルズ周遊パスを利用すれば、自分の好きな村を好きなペースで巡ることができます。
ちなみに、地名のコッツウォルズは「羊のいる丘」という意味。バスや鉄道の車窓から、羊たちがのどかに草を食む様子を見られることも!コッツウォルズならではの美しい自然とはちみつ色の石造りの家並みに、思わず心を掴まれてしまうこと間違いなし。
今回は、この周遊パスを利用し、オックスフォード発の3日間で8つの村を周遊。それぞれの村の魅力をスケジュール順にご紹介します。
モートン・イン・マーシュ(Morton in Marsh)
まず訪れたのは、モートン・イン・マーシュ。オックスフォードから鉄道を利用して40分ほどで到着しました。
周遊パスは、コッツウォルズ内のバスだけでなく、シェイクスピアの故郷、ストラットフォード・アポン・エイボンまでカバーされていう上、オックスフォードやかつて上流階級の温泉保養地として栄えたチェルトナム、ハリーポッターのロケ地グロスター駅を利用する鉄道も利用することができます。
周遊パスを係員さんに直接見せると、改札を通してくれる仕組みです。
コッツウォルズ内のバスは本数が少ないため、到着時に次の目的地に向かうバスの時刻をしっかりと確認しておきましょう。
モートン・イン・マーシュは、商業の街として発達した街。現在はコッツウォルズ旅行の玄関口として知られ、毎週火曜日にはコッツウォルズ最大の青空マーケットが開催されています。
モートン・イン・マーシュのマナーハウスを旅の拠点として利用するのもおすすめ!
今回はたまたま火曜日に訪れたので、次の目的地へ向かうバスが来るまでの約40分間、マーケットを散策しながら村の雰囲気を楽しみました。
バスが来たら、乗車時に運転手さんに周遊パスを見せるだけで簡単に乗車できます。
ストウ・オン・ザ・ウォルド(Stow-on-the-Wold)
約10分ほどバスに揺られ、次の目的地であるストウ・オン・ザ・ウォルドに到着です。
ストウ・オン・ザ・ウォルドは、コッツウォルズの村の中で最も骨董品店が多い、アンティークの村として知られています。村のあちこちにアンティークショップがあり、素敵な雑貨に出会うことができます。
アンティークショップ巡りのみならず、英国菓子ファッジの専門店や、カラフルなハンドメイドスイーツがずらりと並ぶスイーツショップも充実!中でもおすすめはコッツウォルズを代表するベーカリー「HUFFKINS」。
イートインも楽しめるパンやスイーツはもちろん、カラフルなエコバッグが観光客に大人気!自分用にはもちろんのこと、友人や家族へのお土産にぴったり。
その他ジャムや紅茶、エプロンなど様々なオリジナルグッズも販売されています。
ランチやティータイムなら、村の中心部にあるLucy’s Tearoomがおすすめ。
お店の看板メニューは、3種のサンドイッチ、大ぶりのスコーン、ふわふわのキャロットケーキやウォルナッツケーキが乗った「アフタヌーンティー」。特にイギリスの名物ケーキでもあるキャロットケーキは、人参の甘さがしっかりと効いていて、お代わりしたくなるほどの美味しさです。
今回は、次のバスの時間を考慮して、紅茶とスコーンのセット「クリームティー」をいただきました。軽くお茶を楽しみたいという方に、ぴったりの量となっています。
ティータイムを終えたら、周遊パスを利用してバスに乗車。次の目的地、ボートン・オン・ザ・ウォーターへと出発です。
ボートン・オン・ザ・ウォーター
バスで10分ほどで、ボートン・オン・ザ・ウォーターに到着。
ボートン・オン・ザ・ウォーターは、村の中心に小川が流れ「コッツウォルズのヴェニス」とも呼ばれる美しい村。数あるコッツウォルズの村の中でも、特に高い人気を誇ります。
小川には数か所橋がかかっており、家族連れからカップルまで、美しい景観を眺めながら散策を楽しむ人々で賑わいます。
川沿いにはカフェやレストラン、雑貨店がずらり。
ハンドメイドのキャンドルを販売している「コッツウォルズ キャンドルメーカーズ」では、キャンドルだけでなく、ソープやバスボムなどのお風呂グッズも揃います。
カラフルでフォトジェニックな商品がずらりと並んでいて、思わず目移りしてしまいます。香りも様々で、店内にはソープとアロマのいい香りがふわりと漂っていました。
可愛らしい雑貨が好きな女性へのお土産にも喜ばれそうです。街を歩けばそれぞれ魅力たっぷりのお店に出会うことができました。
バイブリー
ノースリーチで一度バスを乗り換え、次はコッツウォルズで一番人気の村バイブリーへ。
「モダンデザインの父」と呼ばれる芸術家、ウィリアム・モリスが「英国で一番美しい村」と評したというこの村は、自然が美しいのどかな雰囲気が魅力です。
バイブリー一番の見どころは、村の景観を代表するアーリントンロウ。14世紀に建てられた家並みは、まるで絵本の中の世界に迷い込んだかのよう!
アーリントンロウは、現在ナショナル・トラストにより管理されています。日本だと鎌倉時代に建てられた家屋が、今現在も住居として使われているような感覚です。古きものを大切にするイギリスの文化を肌で感じることができました。
イギリス国内には「フットパス」と呼ばれる、街の風景を楽しみながら散策を楽しむことができる小道がたくさん。
次はこのフットパスを歩いて、バイブリーからスローターズへと移動します。フットパスの周辺は、手付かずの自然や昔ながらの街並みが残されており、イギリスの田舎のありのままの姿を肌で感じられるのが魅力。
徒歩で約30分の距離ですが、美しい景観を楽しんでいたらあっという間に到着です。
スローターズ
スローターズは、ロウアー・スローターとアッパー・スローターで構成される村。モートン・イン・マーシュからも、フットパスを利用して30分ほどで移動できます。
お土産ショップや観光施設などが充実しているような村ではありませんが、小川のせせらぎと小鳥のさえずりに囲まれて、まるで絵葉書の中に迷い込んだかのようなひとときを過ごすことができます。
村の人々もとても温かく、すれ違うと明るく挨拶をしてくれる人もたくさんいました。
1日目は、そんなアッパー・スローターにあるマナーハウス「Lords of the Manor Hotel」に宿泊しました。17世紀の貴族の館で、過去には日本のロイヤルファミリーも訪れたのだとか。
お城の一室のような素敵なお部屋で、自然あふれるガーデンと鳥のさえずりを聞きながら、贅沢な1日を楽しむことができます。
また、併設のレストランはミシュランスターも獲得しており、夕食・朝食も絶品!ホテル周辺の環境、お食事、お部屋のどれをとっても申し分ないマナーハウスです。
グロスター
翌朝は、ホテルにタクシーを呼んでもらい、ボートン・オン・ザ・ウォーターへ。そこからバスを乗り継いで、世界中からハリーポッターファンが訪れるグロスターへと移動。
映画「ハリーポッター」に登場する魔法学校、ホグワーツのロケ地として有名になった「グロスター大聖堂」へ立ち寄ります。
扇型の天井が美しい回廊部分は、ハリーポッターと賢者の石、秘密の部屋が撮影された必見スポット!映画を見た方なら、ホグワーツさながらの雰囲気に思わず心が躍ってしまうはず。
大聖堂にはカフェが併設されており、ランチやティータイムを楽しむことができます。腹ごしらえを済ませたら、次の目的地、カッスルクームへと移動です。
グロスターから周遊パスを使って電車に乗り、スウィンドンを経由してチッペナムへ。チッペナムからバスに乗り、カッスルクームへと向かいます。
※チッペナムからカッスルクーム間はバス35、35A番で。周遊パスの圏外になるので、直接ドライバーに料金をお支払いください
カッスルクームは、徒歩ですぐに周遊できてしまうほどの小さな村ですが、はちみつ色の家並みが大変美しく「最も古い家並みが保存されている村」として知られています。
丘に囲まれた村は非常にのどかで、無人のケーキ屋さんも発見!次々と観光客が集まっていました。
販売されているのは、チョコレートブラウニーやレモンドリズルケーキ、キャロットケーキなどハンドメイドの焼き菓子。好きなケーキを取って、代金はドアの郵便受けに投入する仕組みです。
カッスルクームで人気のパブ「カッスル・イン」ではランチ、クリームティー、夜はディナーも提供。手ごろな値段でローカルの食材や地ビールを楽しめます。
コッツウォルズのクラフトビールなど、現地ならではのお酒を楽しんでみるのもいいですね。
2日目は、カッスルクーム にある有名なマナーハウス「The Manor House」に宿泊です。元は領主館だったという建物は荘厳で美しく、おとぎ話に登場するお城のよう。
気になるお部屋は暖色系の家具で揃えられた落ち着く空間。お部屋備え付けのタブレットを使えば、フロントに電話をかけることなくルームサービスやモーニングコールをオーダーできます。
天気の良い日は、マナーハウスの前に広がるイタリア式庭園の散策もおすすめです。
ミシュランスターを獲得しているマナーハウスのレストランでの朝食は「優雅」の一言に尽き、このまま一日マナーハウスでゆっくりと過ごしてみたいという気持ちになります。
マナーハウスにスティすることで、朝からエネルギーチャージできること間違いなしです。
レイコック
翌朝は、カッスルクームからタクシーで15分ほどのところにあるレイコック村へ。公共交通機関だとバスを1回乗り継ぎ、1時間ちょっとで移動することもできますが、今回はタクシーを利用しました。
コッツウォルズでのタクシー利用は宿泊したホテルなどで余裕を持って予約しておくことをおすすめします。乗りたい!と思ってからタクシーを呼ぶと、平均20分~30分待つこともしばしば。車の量が少ないのが魅力の、コッツウォルズならではの事情ですね。
レイコックは、村全体がナショナル・トラストによって保護されており、タイムスリップしたかのような古い家並みが残されています。
13〜14世紀の建物も残っていて、特にコッツウォルズでもわずかにしか残っていない「クラック・フレーム」という中世の建築構造の建物は必見です。「ファンタスティック ビースト」「ダウントンアビー」「エマ」「傲慢と偏見」など、様々な映画のロケ地にもなっており、ハリーポッターシリーズにも数多く登場しています。
レイコック村の代表的スポットでもある「レイコックアビー」は、ハリーポッターが通う魔法魔術学校ホグワーツのロケ地。
アビー内のWarming Roomでは、キーパーソンであるクィレル先生やスネイプ先生の教室のシーンが撮影されました。
回廊はホグワーツの廊下として映画に度々登場しています。
アビー以外にもレイコックの町中に、ハリーポッターのロケ地が点在しています。
ハリーの生家でもあるハリーポッターの両親の家や
ハリーポッターと謎のプリンスで登場する、スラグホーン教授の家。シリアク教会の墓地では、ゴドリックの谷の墓場のシーンが撮影されました。
映画にも登場していたレストラン「The sign of the Angel」は、とても美味しいと評判でランチに立ち寄ってみるのもおすすめ。ガーデン席もあるため、天気の良い日は外のテーブルで自然を感じながら食事を楽しむことも可能です。
映画のロケ地のみならず、街のパン屋さんやカフェ、ハンドメイドのチョコレート、石鹸ショップなど、村のあちこちに魅力溢れるお店がたくさん。
可愛らしい外観のレイコックベーカリーは、村人から観光客にまで大人気。食パンや酵母パンなども販売されていますが、ソーセージロールやチーズパイなど、お食事系のパンやパイが豊富に揃います。軽食や食べ歩きにもぴったりです。
オーガニックの石鹸を販売するクィンテセンシャリー・イングリッシュでは、見た目華やかやソープやバスソルトを購入することができ、女性へのお土産にもぴったり。
ハンドメイドのチョコレート専門店ココ・ケミストリーでは、チョコレートバーや板チョコはもちろん、ユニコーンやカエルなど可愛らしいチョコレートが販売されていました。
レイコックを十分に堪能した後は、バスでチッペナムまで移動。チッペナムから電車を利用して、約1時間20分ほどでロンドンに帰着です。
ロンドン発着の日帰りツアーでは、主要の村のみの観光となってしまうコッツウォルズ。レンタカーを借りることができなくても、エイチ・アイ・エスのコッツウォルズ周遊パスを使えば、3日間でもこんなにたくさんの村を周遊することができました。
お好きな村を自分のペースで、自由に回ることができるコッツウォルズ周遊パス。ぜひパスを利用して、自然溢れるのどかな村々で、イギリスの田舎ならではの雰囲気を楽しんでみてはいかがでしょうか?
◆ライタープロフィール
在英ライター/志桜里
第1作が出版された年から、グリフィンドールのマフラーで小学校に通学、授業には杖と羽根ペンを持ち込むほどのハリポタファン。ハリーから届いたファンレターの返事が読めず、英語の勉強を始め、大学時代はハリポタの舞台であるイギリスに交換留学。現在は、大好きなハリポタとイギリスの魅力を伝えるべく、在英ライターとしてイギリス・ロンドンに滞在中。
『SHIORI’S NOTE』>>https://shioriyamada.me/
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